すべり性 / 潤滑性

ゴム用コーティング(ゴム用潤滑被膜 )とは?おすすめの「LUBELAS」についても解説

半導体機器や家庭用電化製品、自動車など、さまざまな分野の製品にゴム素材の部品が使われています。例えばOリングは、流体を密封させるために必要な部品で、あらゆる分野の製品に活用されています。しかし、ゴムは使用するうちに摩耗してしまい、製品の品質や安全性にも大きく影響する可能性があります。

そんなときは、ゴム部品の摩耗を保護する「ゴム用コーティング(ゴム用潤滑被膜)」の活用がおすすめです。そこで今回は、ゴム用コーティングについて解説しつつ、おすすめの商品と利用するメリット・活用例などを解説していきます。ゴム用コーティングを取り入れたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

ゴム用コーティング(ゴム用潤滑被膜 )とは?

ゴム用コーティング(ゴム用潤滑被膜 )とは?

ゴム用コーティング(ゴム用潤滑被膜)とは、ゴム素材を保護するために使用するコーティング剤です。ゴム素材が摺動する際は、接している他の素材との間で起きた摩擦によって、摩耗してしまう場合もあります。ゴム素材の摩耗はさまざまな要因が組み合わさることで発生するもので、以下のようにその要因ごとに分類されています。

 

  • アブレシブ摩耗
  • 粘着摩耗
  • パターン摩耗
  • 凝着摩耗
  • 疲労摩耗
  • ころ状摩耗粉生成で起こる摩耗

 

ゴム素材の中には、製造時にフィラーや添加剤が付与されたことで、耐摩耗性が向上しているケースや、比較的摩耗・摩擦に強いゴム素材なども存在します。しかし、それでも使い続けていれば摩擦が発生し、摩耗によるゴム素材の劣化につながるでしょう。そこで、ゴム素材に潤滑性を持った被膜をコーティングすることにより、摩擦を軽減させて摩耗を防げるのです。

 

ゴム用コーティング(ゴム用潤滑被膜 )でおすすめの「LUBELAS」とは?

 

ゴム用コーティングにもさまざまな種類がありますが、その中でも当社のゴム用潤滑被膜である「LUBELAS」シリーズについて紹介いたします。LUBELASは、ドライ環境下においても優れた摺動耐久性を有したゴム用潤滑被膜で、高い摺動性能をゴム素材に付与できます。

LUBELASによる潤滑被膜は「ドライルーブ」によって構成されています。ドライルーブは潤滑性に加え、耐薬品性・電気絶縁性・撥水撥油性など、あらゆる機能が付与できる多機能被膜です。ドライルーブを使用することで、滑りにくいゴムも滑らせやすくなります。この特性から、ゴム部品の保護やオイルシールなどの張りつき・固着防止などにも有効です。そんなLUBELASの対応材質や使用目的、使用用途などもご紹介します。

 

「LUBELAS」シリーズの対応材質

LUBELASシリーズの対応材質は以下のとおりです。

  • NBR(ニトリルゴム)
  • HNBR(水素化ニトリルゴム)
  • EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)
  • CR(クロロプレンゴム)
  • NR(天然ゴム)
  • UR(ウレタンゴム)
  • FKM(フッ素ゴム)
  • Q(シリコンゴム)
  • CSM(クロロスルホン化ポリエチレン/ハイパロンゴム)
  • SBR(スチレン・ブタジエンゴム)
  • BR(ブタジエンゴム)
  • IIR(ブチルゴム) など

ゴム素材も多岐にわたり、それぞれ特性が異なります。例えば、NRは耐摩耗性・耐油性などに優れており、工業用品に幅広く活用されているのが特徴です。Oリングやオイルシール、各種パッキンにも利用されています。LUBELASシリーズであればNRをはじめ、さまざまなゴム素材にも対応することが可能です。なお、一部材質では密着性を向上させるために、プライマー処理を行ってから使用する場合もあります。

「LUBELAS」シリーズの使用目的

 

 

LUBELASシリーズを使用する目的は以下のとおりです。

  • ゴム素材の滑性や耐久性の向上
  • ゴムの固着防止
  • 色調の追加

ゴム表面に潤滑被膜がコーティングされることで滑りやすさが向上し、摩擦を軽減できます。摩擦が軽減されれば、耐久性の向上も期待できるでしょう。

ゴム素材は加圧状態で金属などに接触すると、相手面に固着してしまう可能性があります。程度が小さければ粘着になりますが、場合によっては剥がす際にゴムを破壊してしまうほど固着するケースもあります。LUBELASシリーズを活用することで、こうしたゴムの固着を未然に防ぐことが可能です。

また、基材の材質が変更されたとき、表面改質や色調の変化なども付与します。

「LUBELAS」シリーズの使用用途

LUBELASシリーズの使用用途も非常に幅広く、多岐にわたるゴム素材に使用できます。例えば、以下のゴム部品に使用するケースが多いです。

  • Oリング
  • オイルシール
  • スタビライザーブッシュ 
  • ワイパーブレード
  • ゴムローラー
  • ゴムシート など

工業用の密封材(シール材)として活用されるOリングは、押しつぶすことで発生する応力により、密封効果を発揮します。適度な応力に加え、使用する環境によっては耐摩耗性や滑り性を付与する必要があります。

しかし、すべての性質を合成ゴムだけで賄うのは難しく、用途に応じて使い分けが必要です。そこでLUBELASシリーズを活用することで、Oリングに必要な耐摩耗性や滑り性などを付与できます。

オイルシールは、名前のとおりオイルをシール(密封)するための部品です。機械部品の回転軸とケースの間を密閉させ、オイルが漏れてしまうのを防ぎます。オイルシールにLUBELASによる表面コーティングを行うことで、摩擦係数を低減させ密封性能を長期的に持続させます。油中やガソリン環境下でも対応できる被膜もあります。

ゴム用コーティング(ゴム用潤滑被膜 )「LUBELAS」を利用するメリット

 

ゴム部品に対して潤滑被膜によるコーティングでさまざまな性能を付与するLUBELASシリーズですが、具体的に利用することでどのようなメリットが得られるのでしょうか?ここからは、LUBELASを利用するメリットについて解説します。

高追従性

LUBELASを塗布することで表面を潤滑被膜が覆いますが、この素材はゴムとほぼ変わらない硬度になります。そもそもゴムは柔軟性や耐久性、防水性に優れているのが特徴です。とくにゴムが持つ柔軟性は重要な役割を担っています。

LUBELASではゴムの表面にコーティングを施しても、柔軟性が損なわれません。また、ゴムの伸び縮みや折り曲げられた場合でも、クラックが発生しにくくなっています。

耐摩耗性

摩耗自体はゴムに限らず、どの素材でも起こり得るものです。さらに、ゴムの摩耗に関しては詳しいメカニズムがいまだに解明していないことから、完全に摩耗を防ぐ方法は今のところ存在しません。

しかし、表面に潤滑被膜をコーティングすることによって表面の摩擦性を抑え、耐摩耗性を付与することが可能です。耐摩耗性が向上することで、コーティングされていないゴム素材と比べたときに高い耐久性を実現できます。

低摩擦係数

摩擦力が高いと物体表面から材料の一部が欠けてしまうなど、破壊現象が起きる場合もあります。ゴム素材は元々高い耐摩耗性を有している素材であり、とくにニトリルゴムやウレタンゴム、天然ゴムなどは耐摩耗性に優れているとされています。

ただし、耐摩耗性に優れているからといって摩擦係数も低いわけではありません。ゴムは摩擦係数が高く、長期間にわたって摩擦や接触が行われると、疲労劣化を起こしてしまう可能性があります。ゴムの疲労劣化は機能の低下に加え、物性・耐久性の減少にも影響を与えてしまうでしょう。

LUBELASでコーティングした被膜内には潤滑成分が含まれています。この潤滑成分によって低摩擦性につながり、摩擦係数を抑えることが可能です。

耐薬品性

ゴムは素材によってそれぞれ耐薬品性が異なります。例えば、ブチルゴムは塩酸などに強く、エチレンプロピレンゴムはアンモニア水などのアルカリ性に強い傾向にあります。

LUBELASの中には耐薬品性のある被膜もありますので、耐薬品性のあるゴムに潤滑性能を付与することも可能です。

耐ガソリン・オイル性

ゴムは素材ごとに耐ガソリン・オイル性なども違ってきます。ガソリンやオイルはゴムの分子間に入り込み、ゴムを膨潤させることもあります。耐ガソリン・オイル性に優れていれば膨潤も防ぎやすくなり、強度の低下を防ぐことも可能です。

LUBELASの中には耐ガソリン性や耐オイル性のある被膜もありますので、耐ガソリン性や耐オイル性のあるゴムに潤滑性能を付与することも可能です。

固着防止・耐張りつき性

ゴムは圧力や温度の影響を受け、内部の架橋(ポリマー鎖同士を化学反応でつなげること)が密になる性質があります。この性質が働いたとき、反応物が表面に浮き出して膜を形成します。この膜はゴムと物質を接着させ、さらに長時間密着することで固着が発生するのです。

ゴムと物質が張りついてしまうと、動作に不具合が生じてしまう恐れがあります。LUBELASに含まれるフッ素樹脂は合成樹脂の中でも低摩擦性・非粘着性に優れており、ゴムの固着・張りつきを防げます。

ゴム用コーティング(ゴム用潤滑被膜 )「LUBELAS」シリーズの性能比較表をチェック!

ゴム用コーティング(ゴム用潤滑被膜 )「LUBELAS」シリーズの性能比較表をチェック!

ゴム用コーティングとして優れた機能を持つLUBELASですが、製品ごとに特性が異なります。自社に適したコーティング剤はどの製品になるか、LUBELASシリーズの性能を比較してみましょう。

製品名 LM-3 FS-1360 FD-2500 FI-2310 FI-9240 FN-2802 FN-8560
色調 灰黒色 乳白色 乳白色 緑色 黒色 乳白色 乳白色
系統 MoS2 PTFE PTFE PTFE PTFE PTFE PTFE
塗布方法 スプレー スプレー スプレー スプレー スプレー スプレー スプレー
硬化温度・
時間
常温乾燥
60分
100℃
60分
150℃
40分
100℃~150℃
60分
150℃
60分
230℃
40分
150℃
40分
膜厚 5~15μm 5~15μm 5~15μm 10~20μm 5~20μm 5~20μm 5~15μm
耐摩耗性
非粘着性
耐油性
swipe

※ここでご紹介しているデータはあくまで一例であり、参考情報になります。
数値などを保証するものではございません。

LM-3のみ系統はMoS2(二硫化モリブデン)系のドライルーブで、その他はPTFE(フッ素樹脂)系になります。いずれも塗布方法はスプレーで、表面を満遍なくコーティングすることが可能です。

ゴム用コーティング(ゴム用潤滑被膜 )「LUBELAS」の活用例

 

LUBELASシリーズはあらゆるゴム素材に潤滑性などの機能を付与することが可能です。そのため、さまざまな業界で活用できますが、とくに自動車業界・電子業界では製造機器や製品自体にゴム部品が使用されていることも多いです。

例えば、自動車のエンジン部分やモーターなど摺動部からオイル漏れを防ぐために、オイルシールが使われています。もしオイルシールが劣化し、うまく機能していないとエンジンからオイルが漏れてしまい、部品が焼けつきを起こしてエンジンの故障につながる可能性もあるでしょう。

また、オイルシールは外部から異物が混入することも防いでくれているため、万が一機能していないと回転軸・ピストンの摩耗を引き起こす恐れもあります。このように、自動車部品に欠かせないゴム素材をLUBELASシリーズは保護することが可能です。

まとめ:ゴム用コーティング(ゴム用潤滑被膜 )なら「LUBELAS」シリーズがおすすめ!

今回は、ゴム用コーティング(ゴム用潤滑被膜)について紹介しました。あらゆる業界でゴム部品を滑らすためにグリスやオイルが用いられることもあります。しかし、グリスやオイルでは使用する環境によっては十分な効果が期待できない場合もあるでしょう。

LUBELASシリーズなら、ゴム部品に潤滑性や耐摩耗性、非粘着性などを付与でき、保護性能を高めつつ安定した摺動性を加えることが可能です。ゴムの柔軟性も維持できるコーティング剤をお探しの方は、ぜひ当社のLUBELASシリーズをお試しください。

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