すべり性 / 潤滑性

速乾性潤滑剤とは?速乾性潤滑剤として活用できる『LUBICK』についても解説

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自動車やバイク、機械などに使われる金属素材の摩擦を防ぎ、摩耗や発熱、動作不良などのリスクを低減するために潤滑剤が使われます。そんな潤滑剤の種類に、速乾性潤滑剤というものが存在します。速乾性潤滑剤は、自動車や家電など身近にある様々なところで使用されています。

そもそも速乾性潤滑剤とは何か、どのような用途で活用できるのか、よくわかっていない方もいるでしょう。そこで今回は、使用していただきたい速乾性潤滑剤のおすすめ商品の紹介も含めて、利用するメリットや活用例などをご紹介します。速乾性潤滑剤に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。

速乾性潤滑剤とは?


速乾性潤滑剤は、名前のとおり速乾性に優れた潤滑剤です。潤滑物質と数秒で乾く非常に乾燥性の高い溶剤の組み合わせで作られています。金属・樹脂・ゴムなどに塗布することで、ドライまたはウェット状の潤滑被膜が素早く形成されるのが特徴です。

ドライタイプは、パウダー系の薄膜が形成されます。部品同士の初期摺動時には優れた潤滑性を発揮してくれるのが強みです。軽荷重領域においても高い潤滑性能を持ちます。

ウェットタイプは、オイル系の薄膜が形成されます。オイル特有の自己復元性によって潤滑能力がしっかりと保持されるのが特徴です。また、各種機材の追従性にも優れ、高荷重領域で安定した潤滑性を発揮してくれます。

速乾性潤滑剤でおすすめの『LUBICK』とは?

固体被膜潤滑コーティングで用いられる代表的な潤滑物質

速乾性潤滑剤『LUBICK』は、固体被膜潤滑剤の製造や販売などを行う東洋ドライルーブが販売する速乾性潤滑剤となります。

スプレーや刷毛塗り、浸漬などで簡単に塗布でき、対象物に潤滑を与えられます。『LUBICK』は、金属・樹脂・ゴムなどに塗布することも可能です。また、すでに自動車・光学・家電・情報通信業などの最先端機器に採用されている実績があります。

摩擦係数比較の一例になりますが、未処理(PC)の場合は静止摩擦係数と動摩擦係数のどちらも0.30です。『LUBICK(LBF-201)』を塗布した場合、静止摩擦係数は0.08、動摩擦係数は0.07と大幅に下がります。このデータから、『LUBICK』は高い潤滑性を有しており、摩擦力を小さくすることがわかります。

『LUBICK』の薄膜は、ドライとウェットの2種類から選ぶことが可能です。そのため、用途に合わせて製品を選んでみてください。

※数値は参考値となります。保証するものではございません。

速乾性潤滑剤『LUBICK』を利用するメリット

速乾性潤滑剤『LUBICK』を利用するメリット

速乾性潤滑剤の『LUBICK』を利用することには、さまざまなメリットがあります。そのメリットとは以下のとおりです。

潤滑性の向上

『LUBICK』には、潤滑性物質のフッ素化合物が含まれています。フッ素化合物は摩擦係数が小さく、低摩擦性を有しているのが特徴です。

フッ素化合物は、フッ素と炭素で構成された化学物質になります。炭素とフッ素の結合力が大きく、分子同士が引き合う力が弱い性質を持っているのが特徴です。さらに、凝着しにくいので滑りやすいことから摩擦性が低く、優れた潤滑性を有しています。

機械は、潤滑不足になると摩擦の影響で摩耗が進行し、過熱や動作不良などの故障を招きます。低摩擦性により滑りを向上させてくれる『LUBICK』を使うことで、機器の異常な動作や故障を防ぐことが可能です。

初期摺動性の改善

新しい機械製品は、本格的に使用する前に、初期なじみを目的に性能を抑えて使用(ならし運転)を行います。初期なじみによって各部品の急激な摩耗や故障を防ぎ、寿命を延ばすことが可能です。『LUBICK』を使うことで、初期なじみ効果を与え、ならし運転時の潤滑性を向上できます。

摩耗を低減するためには潤滑被膜が必要となり、オイル・グリースなどの流体被膜では低減できません。低摩擦性に優れる『LUBICK』であれば、素早く潤滑被膜を形成し、摩耗を防ぎながらならし運転ができます。

音鳴き対策

ゴムやプラスティックなどの部品同士が接触する摺動部は、摺動時に軋む音が鳴ることがあります。音鳴りがするのも摩擦の影響によるものです。

音鳴りがするということは潤滑性を失っており、摺動部は強い摩擦が発生していることを意味します。機器製品の音鳴りは、問題を警告するサインと考えてよいでしょう。『LUBICK』を用いることで、潤滑性を向上させると同時に音鳴りを軽減することが可能です。

音鳴りは、機器製品の運用時に不快感を与え、音が気になってしまうために作業の効率低下につながる可能性もあります。作業や機器製品の使用を妨げないためにも、速乾性潤滑剤を活用して音鳴り対策をしましょう。

作業性の向上

『LUBICK』は、組立工程における作業効率を向上させるメリットもあります。例えば、アルミ合金板に穴を開ける際、ドリルの潤滑が悪いと穴を開けるのに手間がかかってしまうでしょう。

そこで速乾性潤滑剤をドリルに塗布することで、激しい摩擦や発熱から守りつつ、スムーズに穴を開けることができます。作業効率が上がれば、作業員の負担の軽減にもつながります。

『LUBICK』は、スプレーや刷毛塗りによって簡単に塗布できるので、作業効率を下げにくいのもメリットです。

挿入性の向上

組立工程で部品を挿入する際、滑りが悪いためにうまく挿入できないこともあるでしょう。とくにパッキンなどのゴム製品は表面が滑りにくいので、挿入しづらい傾向にあります。そんなときにも『LUBICK』が役立ちます。

滑りが悪い部分に『LUBICK』を塗布することで、部品の挿入がスムーズにすることが可能です。部品が適切に挿入されていない場合、不具合や早期の故障などのトラブルが起きてしまう可能性があります。

そのトラブルは、企業として世間からの信頼を損ねることにつながりかねません。速乾性潤滑剤によってスムーズに部品の挿入ができれば、不具合の軽減につながり、製品の良好な品質も保たれます。

延寿命化

『LUBICK』を活用し、摺動性を向上させることで、機器製品の耐久性を改善することも可能です。摺動部では、部品同士が接触する際の摩擦によって部品の耐久性や精度が低下してしまいます。

基本的に摩擦の少ない素材を採用しているものの、それだけで部品の耐久性を維持することは困難です。そのため、速乾性潤滑剤を使い、摺動性を高めて摩擦を少なくすることが、部品および機器製品の延寿命化につながります。

速乾性潤滑剤の具体的な活用例

速乾性潤滑剤を活用するシーンは多岐にわたります。ここでは、具体的な活用例を見てみましょう。

車のダンパーへの塗布による乗り心地の改善

速乾性潤滑剤は、車のダンパーに塗布することで乗り心地を改善できます。ダンパーとは、地面から伝わる衝撃を和らげる役割を持つ、サスペンションと呼ばれる部品を構成するパーツの1つです。

車体への衝撃はらせん状に巻かれたバネ(コイルスプリング)によって吸収されますが、衝撃を吸収した際に、縮んだバネが素早く戻ろうとする力で振動が発生してしまいます。バネが戻る力をゆっくりした動作に変え、振動を抑える役割を持つのがダンパーです。

東洋ドライルーブでは、ダンパー専用の速乾性潤滑剤「ダンパールビック」も提供しています。車のピストンロッドやパッキン部分にダンパールビックを塗布すると被膜樹脂が形成されて潤滑性が向上し、摩擦抵抗を解消することが可能です。

それにより、突き上げやゴツゴツ感が減少され、ダンパー自体の寿命を延ばすことができます。また、トラクションが素早くなるため、ふらつき感を軽減することも可能です。走行距離が多い車でも快適な走り心地を実現できます。

塗布した後の速乾性が高いので、作業効率の高さも魅力です。リキッドタイプとスプレータイプがあるため、用途に合わせて選べます。

【参考】潤滑剤 ダンパールビックL

自動車・バイクの成型部品の摺動時の音鳴き防止

自動車やバイクの摺動部から異音がする場合があります。上記でも述べたとおり、摺動時の異音は問題が生じているサインである可能性が高いです。主に潤滑不足で大きな摩擦が生じている状態であるため、速乾性潤滑剤を使うことで摩擦を防ぎ、同時に音鳴りの防止が可能となります。

自動車・バイクの摺動時の音鳴き防止には、東洋ドライルーブの『LUBICK Mo 108』をご活用ください。『LUBICK Mo 108』は、高純度の二硫化モリブデンを配合した速乾性潤滑剤となります。スプレータイプなので、簡単に塗布することが可能です。

対象物にスプレーをするだけで、強力な潤滑被膜が形成され、摩擦の影響を軽減できます。1回の塗布でも十分な潤滑効果がありますが、乾いた後にもう一度塗布すると、より摩擦抵抗を下げられるので効果的です。

【参考】潤滑剤 ルビックMo 108 300ml スプレー

ゴム部品の挿入性の向上

ゴムは滑りが悪い素材であるため、部品がスムーズに挿入できないことがあり、作業効率が下がってしまいます。作業員の集中力も次第に下がってしまうと、ますます作業効率が悪くなるでしょう。そんなときでも、速乾性潤滑剤を使うことでゴム部品もスムーズに挿入でき、業務の効率化につながります。

【参考】速乾性潤滑剤LUBICK

速乾性潤滑剤『LUBICK』シリーズの各性能比較表をチェック!

速乾性潤滑剤『LUBICK』シリーズの各性能比較表をチェック!

速乾性潤滑剤の『LUBICKシリーズ』は、現時点で5つのラインナップを用意しています。それぞれどのような違いがあるのか、各シリーズの性能比較表をチェックしてみましょう。

製品名 LBA-102N LBF-201 LBF-701 LBF-701/BL LBW-1010
色調 乳白色 乳白色 乳白色 濃青色 乳白色
被膜のタイプ ドライ ドライ ウェット ウェット ドライ
乾燥性 水系タイプ
分散性
オゾン破壊係数 0 0 0

LBA-102N・LBF-201・LBW-1010の3つはドライタイプなのに対して、LBF-701とLBF-701/BLの2つはウェットタイプとなります。また、ウェットタイプでは、乳白色と濃青色の2種類の色調があるため、選ぶ際は注意してください。

LBA-102Nは、乾燥性や分散性が他の速乾性潤滑剤よりもやや劣ります。また、LBW-1010は、シリーズ唯一の水系タイプです。オゾン破壊係数は、LBF-201・LBF-701・LBF-701/BLの3つが0となっており、オゾン層の破壊に影響を与える心配はありません。

『LUBICKシリーズ』の選定条件は、用途や材料などによって変わってきます。そのため、どれを使えばよいのか悩んでいるのであれば、東洋ドライルーブに問い合わせてみましょう。

速乾性潤滑剤なら『LUBICKシリーズ』

速乾性潤滑剤なら『LUBICKシリーズ』

速乾性潤滑剤は、速乾性に優れた溶媒を使用した潤滑剤です。東洋ドライルーブの速乾性潤滑剤『LUBICKシリーズ』は、自動車・家電・光学・情報通信など幅広い分野でも活用されています。

ドライ・ウェットの2種類があり、用途に合わせてラインナップを選択することが可能です。浸漬やスプレー、刷毛塗りなどで、簡単に塗布できる手軽さも魅力になります。部品への塗布や自動車整備や機械のメンテナンス、機器製品の製造などで『LUBICKシリーズ』の活用を検討している方は、東洋ドライルーブにご相談ください。

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