すべり性 / 潤滑性

艶消被膜/黒色潤滑被膜とは?
工業用漆黒塗料「ルブブラック」についても解説

 

艶消し/黒色潤滑被膜とはどのようなものなのか、詳しく知らない方も多いでしょう。今回はドライルーブでの艶消し/黒色潤滑被膜の概要や光学業界での採用事例についてご紹介します。高い艶消し効果のあるドライルーブの工業用漆黒塗料「ルブブラック」についてもご紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

艶消し/黒色潤滑被膜とは?

艶消し/黒色潤滑被膜とは?

艶消し被膜は、黒色の被膜で艶消し効果の高い被膜です。黒色潤滑被膜は潤滑顔料と艶消し顔料を組み合わせることで、光沢を抑えた仕上がりの黒い被膜による潤滑コーティング被膜です。

艶消し/黒色潤滑被膜は、主に光学業界におすすめです。たとえば、光学機器に使うことで、乱反射防止に加えて摺動性を付与できるので、部品同士の接触部分や可動部分の動きが滑らかになります。また、カメラを用いた検査装置内で起きやすいハレーションと呼ばれる、強い光が当たる部分の周囲が白くぼやけてしまう現象の対策にもなります。

光学業界における艶消し/黒色潤滑被膜の採用事例

 

艶消し/黒色潤滑被膜は、光学業界においてどのように使われているのでしょうか?ここで、実際の採用事例をご紹介します。

艶消し被膜/レンズ用反射防止膜

光学業界では、光の影響を解消するために、特別なコーティングが必要です。この問題を解決するためには、艶消し被膜、レンズ用反射防止膜などのコーティングが効果的です。

ドライルーブでは、光学機器向けにこれらの被膜を形成できるコーティング剤を開発しています。ここでは、その効果と実際の採用例についてご紹介します。

ドライルーブによる艶消し被膜/レンズ用反射防止膜の効果

部品の表面に艶消し被膜、レンズ用反射防止膜を施すことで、光沢を抑え、光の反射を防ぐ効果が得られます。

レンズ用反射防止膜は、レンズ内部で起こる光の乱反射を抑える効果があります。ドライルーブのレンズ用反射防止膜は、REACH規則やその他の厳しい環境規制にも対応しており、安心して使用できるコーティング被膜です。

艶消し被膜/レンズ用反射防止膜を採用している採用例

艶消し被膜は、光の反射率を低く抑えることが求められる部品によく使われます。具体例として、デジタルカメラや防犯カメラの絞り羽根、スマートフォンのカメラ周辺、顕微鏡や検眼機などに採用されています。

レンズ用反射防止膜は、光学カメラ、車載カメラ、監視カメラ、プロジェクターなどのレンズ外周部に使用できます。対応できる素材は、ガラスやポリカーボネートなどの樹脂です。

ドライルーブのレンズ用反射防止膜は、筆やハケ、スポンジなどで細かい部品にも丁寧にコーティングでき、低温焼成による焼き付けも可能です。また、常温でも時間をかけて乾燥させることでコーティングできます。

黒色潤滑被膜

光学業界では、黒色潤滑被膜を採用するケースもあります。続いては、ドライルーブの黒色潤滑被膜の効果と採用例をご紹介します。

ドライルーブによる黒色潤滑被膜の効果

部品の表面にコーティングすることで、名前の通り、黒色の潤滑被膜を形成できます。この被膜には固体潤滑物質が含まれており、部品表面に滑り性を付与するため、部品同士の動きが滑らかになり、摩擦の影響を軽減します。

黒色潤滑被膜は、潤滑性を提供することが主な目的です。そのため、艶消し被膜と比べると艶消し効果はそれほど高くなく、半艶消しレベルの仕上がりになるのが特徴です。具体的な光沢度の数値については後ほど詳しくご説明します。

黒色潤滑被膜を採用している採用例

黒色潤滑被膜は、適度に艶を抑えつつ、滑りやすさ(摺動性)が必要とされる部分に使用されます。具体的な採用例としては、滑らかな動作が求められるデジタルカメラの鏡筒や、高速で動くシャッター周辺などです。

この被膜により、摩擦によるスティックスリップ現象(振動や擦れ音)を防げます。また、ある程度の艶消し効果もあるため、光の反射を抑える効果も期待できます。

その他の艶消し処理方法

ドライルーブでは、その他にも光学用に艶消し効果を与えるコーティング処理を開発しています。その艶消し処理方法とは、黒色静電植毛と艶消し電着コーティングです。それぞれの特徴と採用例をご紹介します。

その他の艶消し処理方法

黒色静電植毛

黒色静電植毛は、電界と呼ばれる電圧がかかっている空間によって、基材表面に黒色の微細な短繊維(パイル)を垂直に植え付ける方法です。遮光/滑り止め/消音/ビビリ音の防止/湿気防止/断熱といったさまざまな特性を付与できます。

また、加工を施すことでビロード調の外観となるので、意匠性を与えられるのも魅力です。複雑な形状にも加工が可能で、主にカメラ内部の部品やカメラレンズのフード部分などに採用されています。なお、黒色静電植毛はドライルーブ(タイランド)にて受託加工に対応しています。

艶消し電着コーティング

艶消し電着コーティングは、電極と被塗物に異なる極性の電圧を印加し、その間に塗料を満たして直流電流を流すことで、表面に艶消しコーティングを施す方法です。ドライルーブでは、複合高分子エマルションを使用して艶消し被膜を形成しています。

工業用漆黒塗料「ルブブラック」とは?

ドライルーブは、光学機器向けに工業用漆黒塗料「ルブブラック」を開発しました。ルブブラックは、バインダーに艶消し効果の高い顔料を組み合わせて、潤滑性と艶消し効果を同時に発揮する塗料です。

この塗料は、水系塗料であるため、揮発性有害物質の排出が少なく、人体や環境に優しい点も特徴です。

さらに、塗布面に触れても粉落ちの心配が少ないため、美しい状態を維持しやすくなります。白みを抑えた漆黒のマットな仕上がりが可能で、光学機器の乱反射防止、画像検査装置のハレーション対策にも効果を発揮します。

艶消度合いの指針となる光沢度

対象物によって異なりますが、艶消しコーティングを行う際には、塗料の艶消し度合いが高いものを選びましょう。その基準となるのが「光沢度」です。

光沢度とは、平面に一定の角度から光を当てたとき、当たった光がどの程度反射して戻ってくるかを示す指標です。反射率が高い塗料ほど光沢があり、逆に低い塗料ほど艶消し効果が高いと判断できます。

ルブブラックの光沢度の参考値は、60度で0.2%、85度で2.8%です。これを他のドライルーブ製品と比較すると、次のようになります。

製品名 M-211 FA-1640 AA-52015-1 AD-20066①
(ルブブラック)

光沢度の

参考値

60度 1.0% 0.8% 0.2% 0.2%
80度 12.0% 4.5% 4.0% 2.8%

他の製品も艶消し効果は高いものの、ルブブラックの光沢度はとくに低く、艶消し効果が非常に高いことがわかります。上記の数値は参考値ですが、高い艶消し度合いを求める場合は、ルブブラックが最適です。

艶消し/黒色潤滑被膜なら「ドライルーブ」がおすすめ!

 

今回は、艶消し/黒色潤滑被膜の特徴や光学業界での採用例、そしてドライルーブの工業用漆黒塗料「ルブブラック」についてご紹介しました。デジタルカメラ、防犯カメラ、顕微鏡などの光学機器では、光の問題を解決するために、部品に艶消し被膜を施すことが重要です。これにより、光の影響を抑えられます。

さらに、ルブブラックは高い艶消し効果を発揮します。また、オイルやグリースを使用せず、環境に優しい水系塗料であることも大きな特徴です。高性能な工業用漆黒塗料をお探しの場合は、ドライルーブのルブブラックをぜひご検討ください。

 

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